塩屋

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すぐに次の駅に着く。 「あ、じゃあまた明日ね」 そう言いながら一人が降りて手を振っている。 ドアはすぐに閉まり電車は動き出す。 「でも部長が変わるって何年ぶりだろう…」 「あ、私が就職した時に変わったって言ってたから、五年とかじゃないですか…」 就職して五年か…。 「そうか…。ミサってもう五年になるんだね」 「そうですよ。もう五年ですよ」 「私、十年だし」 二人で笑っていた。 「どうなの、彼氏出来た」 「出来ませんよ…」 彼女はそう言いながら車内を見回した。 僕は気付かれない様に俯く。 何故俯いてしまったのかはわからない。
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