塩屋

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僕は文庫本を読む彼女を見て微笑んだ。 そして電車は塩屋の駅に停まる。 彼女は帰りも塩屋の駅で暮れた空を見上げた。 この町が好きなのか…。 僕は空を見ている彼女の姿をじっと見つめた。 彼女の降りる駅に着くと、彼女は文庫本をバッグに入れて電車を降りた。 そして一瞬彼女は振り返って僕を見た気がした。 その瞬間、僕は呼吸を止めた。 しかし、そのまま彼女は改札へ向かう階段を上がって行った。 気のせいか…。そうだよな…。 僕は俯いて微笑むと文庫本を閉じて鞄に入れた。
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