塩屋

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「宮本、今日は付き合え…」 課長にまた誘われた。 続けて断る訳にもいかず、承諾した。 いつも行く店とは違い、小洒落た居酒屋に課長と僕と後輩の杉田の三人で入る。 「この店に連れて来たかったんだよ…」 課長は嬉しそうに言いながらおしぼりで手を拭いていた。 スズキのフリッター…。 僕は日本酒の並ぶ棚を見た。 酒呑童子…。 ある…。 もしかしたら彼女たちは昨日ここで飲んでいたのかもしれない…。 昨日課長の誘いを断らなければ、ここで彼女と会っていた。 僕は昨日、課長の誘いを断った事を少し後悔した。 「好きなモノ注文しろ…」 課長はメニューを僕と杉田に渡した。 僕はスズキのフリッターと酒呑童子を注文した。 「宮本、お前、通だねぇ…。酒呑童子は美味いんだよ…」 そう言って課長は笑って、結局三人とも酒呑童子を飲む事になった。
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