塩屋

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スズキのフリッターは彼女たちが言っていた様に美味しく、酒呑童子も辛口で美味しいお酒だった。 三時間程、課長の話を聞いて店を出た。 課長は単身赴任で神戸に来ていて、一人の部屋に帰るのが寂しいらしい。 僕も杉田も一人だが、それが当たり前なので、寂しさは課長程ではないのかもしれない。 課長は歩いて帰れる距離にマンションがあり、杉田は私鉄で帰る。 僕は一人、JRの駅へと歩いた。 良い感じに酔っているサラリーマンも多い時間になっていた。 改札を抜けてホームへと上がる。 酒呑童子が美味しくて、つい飲みすぎてしまった。 ホームへ上がるエスカレーターが合って良かったとつくづく思った。 ホームに入ってくる普通電車に乗る。 今日ほど酔っている日は普通電車に座って帰るのかベストだろう。 予想していたよりも電車は空いていて、僕は長いベンチスタイルの椅子の端の席に座り、鞄から文庫本を出して開く。 残りは多分帰るまでに読み終える厚みだった。 ドアが閉まろうとした時に駆け込んでくる女性がいた。
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