青い僕らの旅行記

2/2
前へ
/6ページ
次へ
第八章 別離  分かりきっていたことだが、別れはやはり悲しい。出会いや想いの数だけ別れがあることは、理解しているつもりだった。  ただ僕らの場合は血を分けた双子だったということだ。双子であることを辞めることはできない。だが気持ちを切り離すことはできる。  別れを告げられた瞬間、僕らは「青い双子」ではなくなったのだ。「青い」ままなのは僕だけなのだから。 最終章 青空  旅立ちから丸三年が経った。別れという出来事は僕にとって耐えられるものではなかった。  碧はいつの間にか知らない色を(まと)っていた。知らない世界を見て、違う色を知ったのだ。僕だけが昔のまま。何一つ変わっていなかった――。  この「青」を永遠のものにするために、僕は行く。まだ語られたことのないあの青空の向こう側へ。  碧には生きていて欲しい。僕が知らない表情も、仕草も全て見せてほしい。  さようならは言わない。なぜならこれは別れではない。永遠の旅立ちなのだ――。 終  作 青野蒼衣
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加