Data.2

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上の人間さえいなければ、今の日本の暴力団には力がないからやりたい放題だ、と言う羅・希漢(ルオ・シーハン)。 ぼさぼさの短髪に金のネックレス、そしてラフで趣味の悪い柄シャツ姿だが、ガッチリとした体格に、顔には滝で流れる水のような髭をたくわえ、見るからにチャイニーズマフィアな風貌。 うまく上を出し抜けたと思っているその言葉には、自信がみなぎっていた。 「わかりました、羅・希漢(ルオ・シーハン)の兄……」 かたや、覇気のない武・雲(ウー・ユン)。 乱れた長髪に、長袖のヘンリーネックシャツを着て、痩せこけた体をしている。 その姿は、組織に隠れてやっている麻薬流通ルートの疲労が、かなりたまっていそうだった。 グラスに高級紹興酒(しょうこうしゅ)を注がれ、左右には若い妖艶(ようえん)な美女がいても、武・雲(ウー・ユン)は冴えない表情をしている。 羅・希漢(ルオ・シーハン)は、「なにが不安なんだ?」と声をかける。 そう言われた武・雲(ウー・ユン)は、恐る恐る話し出した。 香港にいると落ち着かない。 この国にはあいつがいる。 もしあいつに……マリゴールドに知られたら殺される。 「バカバカしい。あいつが知ったって、ここにはこれだけ兵隊がいるんだぞ。もしここに来たとしても殺されるのはマリゴールドの方だ」     
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