Data.2

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羅・希漢(ルオ・シーハン)は鼻を鳴らしながら言った。 店の中で、そんなやりとりが行なわれている間、店の駐車場に一台のバイクが停まる。 ドゥカティ999S イエローカラー。 バイクを停めた者は、被っていたフルフェイスヘルメットを脱ぐ。 それは女だった。 金髪のポニーテールに、黒と黄色のレザージャケット、黒のレザーパンツは体のラインがわかるほどタイトなものを着ている。 まだ幼い顔立ちをしているが、その不機嫌そうな表情のせいか、年齢がわかりづらい、おそらく20代前半。 「……ここだな」 そういった彼女の開いた口から見える八重歯(やえば)と、虚ろな緑色の瞳に太陽の光が反射した。 女性の名はアウレリア・ミドリカワ。 日本を拠点にしているチャイニーズマフィア――。 そのボスを叔父に持つ宇慶沁慰(うけいしんいー) が香港で育てた、東アジアと東欧系ハーフの暗殺者。 通称――マリゴールド。 「さて、さっさと()るか」 アウレリアはそう(つぶや)いた。 リボルバータイプの拳銃、マテバ 6 Unicaと同社であるマテバ2006Mを両手に握り、店の中へと入っていく。 それから数秒後――。 店の中から悲鳴と銃声が、二段積みマーシャルアンプのボリュームを上げたように激しく鳴り響いた。
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