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香港の郊外のとある高級料理店で、豪勢な宴が開かれていた。
招かれていたのは、新宿歌舞伎町で麻薬流通ルートを開通し始めたチャイニーズマフィアのチンピラ、武・雲。
それをもてなしているのは、同じ組織の別グループのリーダー、羅・希漢である。
席に若い女をはべらせ、周りには屈強な男たちが立っている。
普段は不機嫌な羅・希漢も今日はご機嫌だった。
日本にある自分の所属している組織のボスは、姪である一人の女に振り回されていて、傘下の者は好きにできないでいる。
それが面白くない羅・希漢は、日本にいた武・雲を使って、秘密裏に動き、麻薬でひと稼ぎしようとしていたのだ。
それを手始めに、ゆくゆくは裏から組織を乗っ取るつもりでいる羅・希漢。
今日は、そのための足がかりを成功させ、香港に帰ってきた武・雲を労う会だった。
「その調子で頼むぞ武・雲。なんだったらもっと仕入れ値を下げてもいい。とりあえず最初は、儲けを考えずにばら蒔くだけばら蒔け」
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