2.敗北

2/8
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
 それから、内海ななせの名はあっという間に学校中に広まった。  授業はサボりがちなのに成績はいつでもトップ。運動神経もよく、校内一の美人だ。  だが、かなり気まぐれで、近寄りがたい。  常に注目の的でありながら、いつでも独り。そして退屈そうだった。  私は何をしても勝てなかった。  それどころか、内海ななせの視界に入ることもできなかった。私は彼女を意識せずにはいられないのに。  悔しくて、悔しくて、強引に彼女の視界に入り込んだ。それが、更に私を苦しめる選択だとも知らずに。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!