シェン・イーロン その4

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「検問が見えてきましたね。イー、IDの準備を」 サンにそう言われ、私はポケットからIDカードを出した。 「しっかし、女が3人なんてバレないかね。あたしが連中なら怪しくて身体検査するよ」 「リャンはカラダ目的だろう。このスケベ」 リャンがニヤつきながらいうと、サンが怪訝(けげん)な顔をして冷たく言った。 リャンはそういっているが、彼女も私たちも知っていた。 たとえ怪しくても、IDと検問を通るだけの理由があれば、簡単に中に入れることを経験からわかっているのだ。 近づいた町を見て、もうほとんどが焼け野原のようだった。 こんなところを拠点している理由は、この周辺で勝利したゲリラがたまたま近くの町を占拠しただけで、作戦もクソもないだろう。 町の入り口にやってくると、早速、検問の兵士がトラックを停車するように言ってきた。 私はIDを提示しながら、慣れた口調で現地語を使い、前もって考えていた話をする。 「頼まれていた食料を運んできました」 「ご苦労さん」 その兵士は荷台へ目をやった。 「ちょっと訊きたいんだが。あの後ろにいる子供はなんだ?」 そういわれたが、サンがすぐにフォローに入ってくれた。 「捕虜として途中で拾いました。この町の出身だそうです」     
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