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「ここからは重装備を解いて、最低限の装備だけ持って行きましょう」
車の燃料が半分を切っていたのもあったし、ここまで車で来れたので全員体力的に余裕があるから、とサンが提案した。
もちろん、私たちはそのとおりにする。
「その前にエネルギー補給しようぜ」
そういったリャンが、荷台の木箱からリンゴとってみんなに渡す。
「まったく、しょうがないな」
「いいじゃない。エネルギー補給も大事よ」
「ぅん……」
それを見て、サンが呆れた顔をしたが、私がフォローし、スーも頷いた。
そして4人とも笑い出す。
こうしていると、私たちは本当の家族のようだ。
……家族。
嫌なことを思い出すな――。
「さすがだな。お前は私たちの宝だよ」
「本当ね。親として鼻が高いわ」
私には姉がいた。
姉はモデルのように美しく、愛想はいいが誰にも媚ず、何をやらせても天才的だった。
そんな姉と違って、私は努力してなんとか人並み。
当時、よく1人で思っていた。
……私がいくら努力したって、誰も私を見てくれない。
お父様もお母様も、姉様がいればいいんだ……。
私はいらないんだ……。
「最近、元気ないわね。何かあったの?」
姉はそれでいて優しかった。
私はそんな姉の優しさが憎くて、よく反抗的なことを言った。
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