プロローグ

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さんさんと照りつける太陽の下、多くの死体が転がっている中で、一つ、目を引くものがあった。 それは年端もいかぬ子供である。 近づいていくと、どうやらそれは少女のようだ。 仰向けにしてみると、背を突き抜けた弾丸が胸や腹か出ていった(あと)があった。 弾丸で開けられた腹からはみ出た腸が、乾ききっている。 干からびている少女の顔に目をやり、ひらいている口唇を見ていると、まるで誰かになにかを伝えたがっているように見えた。 それから周辺を調べると、どうやらここは数十人が暮らしていた村のようだ。 どの死体も腐りかけていたが、乾燥していたのもあってか、腐食(ふしょく)が収まっていた。 それを見れば、襲撃されてからかなりの時間が経っていることがわかる。 死体を確認する限り、どれも逃げようとして、背中から撃たれたものばかりだ。 一方的な虐殺――。 全員、一方的に虐殺された。 この村に立ち寄った少女たちは、持っていたIMI マイクロウージーに力を込める。 彼女たちがこの短機関銃を使用しているわけは、中東ではこの銃が簡単に手に入りやすいからだ。     
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