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だけど私は、今回のターゲットであるサイードという男に、個人的に訊きたいことがあった。
「今回は、私に行かせてもらえないかな?」
私はめずらしく自分の意見を、皆に伝えた。
3人とも驚いた様子で、目と口を大きく開いていた。
それからサンが話し出す。
「……いいかもしれない。リャンだと派手になる可能性もあるし」
「はぁ!? なんだよそれ? まぁ、イーがやりたいって言うなら別にいいけどよぉ」
思っていたよりすんなり話が進んで、逆に私が驚いてしまったが、やはり心配なのか、サンに忠告される。
「ただし、メインはスーでお願いします。イーはあくまで補助」
当然だ。
私は一応スーに声をかけ、反対じゃないかどうか確認してみた。
「スーはそれでいい?」
「ぅ……うん!」
よかった。
特に不満はなさそうだ。
「失敗すんじゃねぇぞ。4人だけで敵の本隊と銃撃戦なんて、いくらうちらでも確実に死ぬわ」
私とスーが建物内に乗り込もうとすると、背中からリャンの声が聞こえてくる。
このセリフは彼女なりに私とスーにハッパをかけているのだが、そうとわかる人間はDG21のメンバーと父さんくらい。
他の人間だったら、ただ単にプレッシャーを感じるだけだ
私たちは建物の塀を乗り越えて、中庭へ。
草木に身を隠しながら、周囲を見渡す。
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