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シェン・リャンロン その3
パキスタンでの短い休暇を終えたあたしたちは、次の仕事の準備をしていた。
ブーツに顔が映るまで磨き、ナイフを研ぎ、予備のトカレフ、中国製の54式拳銃の分解結合・整備する。
「AK-47のようなタフな銃ばかりなら、メンテナンスも楽でいいんだがな」
あたしがそういうと、サンが呆れた顔をし、スーは無言でせっせと投げナイフの交換をしていた。
あたしは、一応銃のメンテナンスをできることはできるが、かなり苦手と言うか、正直嫌いだ。
っていうか、メンテナンスが好きな奴なんているのかよ?
みんな死にたくないからやるんだろ?
メンテナンスが好きなんて奴は、単なるガンマニアか、よほどその銃に愛着があるんだろう。
「ただいま」
あたしが嫌々メンテナンスしていると、イーがコマンダージェイのところから帰ってきた。
コマンダージェイ――。
あたしたちの働く民間軍事会社の社長だ。
基本的に、小隊長であるイー以外は会うことはない。
前に一度だけ見たことがあるが、小綺麗で軽薄そうな白人の男だった。
なんでもサンの話じゃ、元はハリウッドの映画監督をしていて、過激すぎる映像を撮り続けて干されたとか。
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