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シェン・イーロン その3
強行軍で疲れた私たちに、交代で仮眠を取ることをサンが言った。
そして休息を取ることに――。
「予定よりも30~40分は早く行動できています。ひとり10分は眠っても問題ないでしょう」
私たちは当然サンの提案を断るわけがなかった。
先にリャン、次にスー、そして私、サンの順番で眠ることとなった。
草むらに隠れて、横たわり、荷物を枕代わりにして眠る。
最初の頃は、とても寝れたものではなかったが、今ではもう慣れたものだ。
「うぅ……うぅ……」
しばらく周囲を見張っていると、スーが相変わらず声にならない声で話しかけてきた。
どうやら私の番がきたらしい。
そういえばいつから私たちは、スーの言いたいことがわかるようになったのだろう?
昔は、スーがなにを言いたいかがわからず困ったものだが、今では何故かわかる。
わからなかったときに、父さんに相談したらこう言われた。
「そうか? 俺にはスーの言いたいことがわかるぞ。お前たちもそのうちわかるようになるさ」
言われたときは、そんなバカなと思ったけど、まさか本当にそうなるとは……。
やはり父さんはすごい人だ……。
「あうぅ……」
「うん? なに? 早く眠った方がいいって?」
「ん、んぅ……」
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