41人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
シェン・イーロン その1
あなたと出会ったことで、私は愛を知りました。
今度会ったら、そのことを必ず伝えます――。
傭兵稼業というのは楽なものではない。
私たち傭兵は有名な映画やコミックのせいで、金や状況次第ですぐに裏切る外道、というイメージを持たれやすいが、少なくとも私たちの民間軍事会社からそういう指示を受けたことは一度だってない。
それは傭兵を雇う基準が、技術や技量以上に、雇い主や兵隊同士の信頼関係が重視されるからだ。
詳しくは知らないが、うちの会社はアメリカから中東――小さな商売も含めれば各国にいる要人からも暗殺の依頼が来るようだ。
まさに世界中が私たちの職場だ。
私たちには、どんなに酷い戦場でも生き残る術を教えてくれた人がいた。
私たちは皆、その人のことを父さんと呼ぶ。
私たち全員、父さんの名から字をもらい名乗っている。
私たちが働く民間軍事会社の社長であるコマンダージェイが、私たち一人ひとりにに名前をつけたが、皆、自分の昔の名前を名乗るのが嫌で、その名を使っているに過ぎない。
コマンダージェイが、私たちにつけた名前は単なる数字だった。
最初のコメントを投稿しよう!