act.01

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「多分コレで最後だと思う。麻酔が効いてる間、腕に力入んないと思うから無理しちゃダメよ。それから今夜、ひょっとしたら発熱するかもしれない。ま、自分の身体を労わらない罰として、解熱剤飲まずによく汗をかくこと。いいね」 「はい」  櫻井が返事をした時、治療室のドアが開いて、吉岡が中に入ってきた。 「どうだ、傷の具合」 「もう大丈夫よ。動脈が切れてたから派手な色の血が出たの。それも塞がったし、血の量ほど傷は大したことない!」  和泉の台詞を聞いて安心したらしい。心配げだった吉岡の表情が、途端に不敵な笑みに変った。 「櫻井~、お前ちょっとした有名人になったぞ」  麻酔のかかった腕に閉口しながらも何とか自力でズボンを履く櫻井が、怪訝そうに吉岡を見る。 「夕方のニュースに今日の捕り物のことが流れたんだ。しかも映像つきで」 「どういうこと~?」  和泉がポカンと口を開ける。     
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