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「碓氷村の碓氷さんでメダル4個!三種目金・銀・銅!快挙です!素晴らしいです!」
森くんはしっちゃかめっちゃかの中で何回もその言葉を繰り返していた。ヨーコさんと安藤さんは事あるごとに思い出し泣きする。才賀さんは碓氷村での祝賀会で、結局やっぱり『恐れ入った』を連発した。タイチは嬉しそうだった。
ヒロさんもさつきさんも、タイチを抱きしめた。タイチは恥ずかしがっていたけど、それなりに喜んでいた。ゆきもタイチをぎゅーっと抱きしめていた。きっと『兄ちゃんおめでとう』って意味だったに違いない。家族ってやっぱり素晴らしいと思う。
そして五輪が終わっても、息つく間もなく碓氷村でのカップ戦が控えている。
準備に追われる中、それでも俺たちは技を磨かねばならない。
「悔しいけど、弟弟子に抜かれるのはもう宿命みたいなもんだし」
「雄大おまえ……先は長いのに何悟ったみたいな事言ってんだ。次はホームでやり返せ」
「うん。FlyHighカップはタイチとワンツーっちゃ……!W杯の感動再びっちゃ……!」
「もう吐くなよ」
ゲレンデは真っ白だ。
時折吹雪くけど、俺にはそれが花吹雪のように映るんだ。
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