第3章 かかえているもの

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「僕からも図書委員メンバーが責任もってやりますからって話したんだけど、文化祭の規定ではクラスの出し物だったら担任、部活だったら顧問から実施計画書というものを出さないといけないらしいんだよ」 「そんなの……この前は言ってなかったじゃないですか」 「銀ブチのヤツ、先日のつきっちの発言、相当根に持ってるみたいだったから。その計画書とやらを提出しないことには、認可もおりそうにない」 僕たちがどんなに懇願しようとも、文化祭の規定を盾に、銀ブチの意志は揺るがないというわけか。まったく……。理不尽な要求に憤りを覚えた。 「提出期限はいつなんですか?」 僕の問いにソラさんは、 「連休明けの職員会議までのようだ」 と答えた。 「すぐじゃないですか」 「そうなんだよ。ヒジリと郵送でやりとりしていたら間に合わないかもしれない」 「だったら入院先に行って、書いてもらったらどうでしょうか、計画書」 僕の提案に、ソラさんがコホンとひとつ咳払いをする。 「ヒジリの病院がどこにあるかは前に伝えたね」 あ、そういえば……。 意気込んで提起してみたものの、場所を思い出して一瞬ためらった。 そうなのだ。ヒジリはツーリング途中で事故に遭って、現場となった静岡市にある病院に搬送された。そこは僕が住んでいる浜松からだと電車で七十分はかかる。 「行こうよ、ヒジリの病院」     
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