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第3章 かかえているもの
ゴールデンウィーク中日。
登校日にして、全校一斉テストのあった日の放課後。
図書室に着くと、すでにソラさんがカウンターに座っていた。
室内にほかの生徒はいない。
「どうだい、朝日くん。テストの手ごたえは」
ソラさんが神妙な面持ちで聞いてきた。
「まあまあです。ソラさんは?」
「ん、僕かい? そうだな……、成熟するためには遠回りをしなければならないようだ」
「……そうですか」
あなたはただ、開高健の名言を口にしたかっただけでしょう。
「ところで、君に悪い報告がある」
本は読んでも空気は読まないソラさんが、今日は自分から話題を切り替えた。
その神妙な顔つきに胸さわぎを覚える。
「今度の文化祭の催しだけど、図書室は開けないかもしれない」
「え、なんで」
思わず顔をしかめた。だって、先日一日かけて文化祭で披露する棚づくりのための選書をしたばかりだというのに……。
「ヒジリが入院して、図書室を管理できる先生がいないだろうって銀ブチが言うんだ」
ソラさんがため息をつく。
「そんなの僕たち生徒だけでなんとかしますよ」
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