駅前の橋で

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 雨が止み、また朝日が昇り、また僕らを無造作に照らす。けれどあの温もりは帰ってきやしない。行きかう人々の顔は眩しくてよく見えない。僕はギターを置いて、最期の詩を呟いた。  「そして空を見上げた…でも、何も見えない」  僕がいてもいい場所や、一緒にいてもいい人達は、もうとっくになくなっていたのだろう。  ふらり、とその場を立ち去ろうとする。しかし誰かがその腕を強く掴んだ。 「へたくそ…でも、まだ聴きたい」  どんな時であれ、アンコールには応えなくてはいけない。腕から手を離し、ペコリと一礼してその人を見つめる。何も見えない世界で、その人だけがハッキリと現れた。  ギターをわざとらしくかき鳴らし、最初の詩を歌う。 「そして空を見上げた、眩い光は君の輪郭を照らした」
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