一日目 「入所」

2/2
前へ
/2ページ
次へ
「おれは、恵が好きだ」 「・・・・・へ?」 白夢児童養護施設。 昼十二時半。 寒い冬の日、施設にあるグランドの隅の方で雪がちらつく中、私、恵は一つ上の男性・将に告白された。 刻は遡る。 九年前、七才。 恵は白夢児童養護施設に入所した。 恵には親二人ともダメ人間だった。 恵を六才(当時)の時に捨てられた。 母は違法カジノで捕まり、刑務所。 父も遊び人で借金、1億円を越え、育てることを放棄し、恵を近くの公園において、その公園から遠く離れた湖で自殺をした。 恵は一人になった。 でも悲しい感情もなく、涙もでなかった。 元々、母親から暴言・暴力を受けた。 酷い言葉を言われていた。 一番印象に残っている発言は恵が五才の時に言われた「お前なんかいなくなればいい……。」と恐ろしい顔で母に言われたこと。さすがにショックな出来事だった。でも今は捨てられたっていうのにショックではなかった。むしろやった!とちょっと思っていた。もしかしらこうなると思っていた。 六才なのに、もう一人ぼっちになっちゃった。恵は公園の大きなゾウの滑り台の上で寝ていた。 今は夏の7月の暑い日の夜。外だからちょっと涼しかった。 恵はふて寝していた。持ってきていたリュックをしたままねた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加