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「おれは、恵が好きだ」
「・・・・・へ?」
白夢児童養護施設。
昼十二時半。
寒い冬の日、施設にあるグランドの隅の方で雪がちらつく中、私、恵は一つ上の男性・将に告白された。
刻は遡る。
九年前、七才。
恵は白夢児童養護施設に入所した。
恵には親二人ともダメ人間だった。
恵を六才(当時)の時に捨てられた。
母は違法カジノで捕まり、刑務所。
父も遊び人で借金、1億円を越え、育てることを放棄し、恵を近くの公園において、その公園から遠く離れた湖で自殺をした。
恵は一人になった。
でも悲しい感情もなく、涙もでなかった。
元々、母親から暴言・暴力を受けた。
酷い言葉を言われていた。
一番印象に残っている発言は恵が五才の時に言われた「お前なんかいなくなればいい……。」と恐ろしい顔で母に言われたこと。さすがにショックな出来事だった。でも今は捨てられたっていうのにショックではなかった。むしろやった!とちょっと思っていた。もしかしらこうなると思っていた。
六才なのに、もう一人ぼっちになっちゃった。恵は公園の大きなゾウの滑り台の上で寝ていた。
今は夏の7月の暑い日の夜。外だからちょっと涼しかった。
恵はふて寝していた。持ってきていたリュックをしたままねた。
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