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僕は吐息をつき、何年かぶりの自室に入る。
掃除がしっかりとしてあり、ローズのいい香りが仄かに漂う。
「うはっ、いい香りーっ」
「さくちゃんーっお父さんのお話終わったのーっ」
ひょっと顔を出す実の兄聖弥にパタリと資料を閉じて、返事をしょうとするがぎゅぎゅっと返事をする前に抱きつかれる。
タッパがいい兄に抱きつかれるのは即ち、抱き殺されるのに近い。
「うぐっ」
「聖ーっ朔が死にかけてるぞーっ」
僕の異変に気付き、力を緩めてくれる。
ううっ……やっと、息が吸えるうっ。
「……うあーっははーはーっ」
「ーっ、ごめんねっごめんねーっさくちゃん」
聖弥の兄侠弥が心配そうに僕を抱き寄せる。
聖弥と侠弥は双子で一卵性の為にかなり似ていて、見分けがつかない。
国際的人気モデル兼歌手の二人は双子ならではの息が合うハーモニーが人気に拍車をかけている。
「……まったく聖はもっと落ち着きを持て、大体」
「だーもういいわかってる」
「わかってないーっ、お前は」
侠弥兄さんのお説教が始まった、僕はこっそりと部屋から出てリビングに行く、するとカチャリとドアが開く。
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