佳代子の魔法

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佳代子の魔法

 「和美さん。今まで何人の女の子を抱きましたか?」  唐突な質問と訊いてきた相手が意外だったので、私は思わず、煙草を取り出す手を止めた。  訊いてきたのは森野佳代子。大学の二年生で私の一年後輩。彼女は私の止まった手を気にすることなくマイペースに二本目の煙草を吸っている。 佳代子とはサークルが一緒でも学部が同じでもないが、こうして顔を合わせることがあるのは煙草という共通点だった。  昨今、喫煙率が減っているおかげで大学の喫煙所を独り占め状態だった私だが、3か月前にいつも通り一服しに行ったら彼女がいたのだ。  正直、喫煙所で彼女を見たときも意外だったがこの手の話題も意外だった。  一般的に言えば、清楚系に含まれる佳代子だ。ウェーブがかったセミロング。背は低くは無いがどことなくリスを連想させる小顔。守ってあげたくなるタイプってやつである。  対象的に黒髪ショートでTシャツにジーパンという簡単ファッションの私で一緒にいるのが申し訳なくなってくる。  イメージで人を判断するのは好ましくない。ましてや、お互いとっくに成人してるのだ。多少の性の話ぐらいしてもどうということはない。     
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