佳代子の魔法

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 意外に思うだけで、戸惑いなどはないので、私はいつも通り答えた。 「少なくとも一人や二人ではないね」  大概の場合は茶化される。場合によっては「女の子同士に興味あるんだ」と言われる。 「和美さん。今日、お時間あれば、わたしに抱かれてみませんか?」  予想外のことを言われ目を見開いた。茶化しているんじゃないかと佳代子の目を見つめた。 いつも通りの笑顔を浮かべていたが彼女の瞳は真剣だった。 「え、私が佳代子に抱かれるの?」  彼女は無言でコクリと頷くと流れるように私の左手を取り、手の甲に優しいキスをした。  その自然なしぐさに背筋がゾクリとした。左手から伝わる彼女の体温に私の身体は興奮し始めている。 ――私の身体は、もう、佳代子を求めていた――  そのことがバレるのがイヤで、私は自分がされると嫌な茶化しに似た気障を言ってしてしまったのだが、それは息遣いのせいで逆効果になった。 「か、佳代子。なんか王子様……みたいだね……」  王子様はないよな……と自分でツッコみを入れる前に佳代子がさらに仕掛けてきた。  私の左手を軽く引っ張り佳代子は私を抱きしめて、耳元で囁いた。 「フフ。王子様……ですか? 和美さん可愛い」  気が付くと私は了承していた。まるで魔法のようだった。
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