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陽風 心結
「心結、図書室委員になったの?」
「ほぼ、強制的にやらされただけだけどね。」
私は、携帯を取り出し、ボタンを押して、時刻を確認する。
「あ~そろそろで、5時になる。今日は、図書当番なんだ。」
「がんば!私は、もう帰るよ。」
「うん、じゃあね。」
私は、児玉紗江子と別れたあと、教室を出て小走りで図書室へ向かう。
今日の当番は、2人。
丘 弘光先輩と毎週水曜日と金曜日、
込み合う、図書室でお仕事をする。
この学校は、県内有数の進学校で、県内で一番偏差値が高い。
図書室は、他のどの学校よりも設備がいい。
だから、勉強しにくる生徒も沢山いるわけで。
特に、テスト1週間前になると特に忙しい。
図書委員は、クラスで成績上位の人しか、なれない。
勉強をが追い付ける人しか、やらせてもらえない。
テスト前は、さすがに勉強したいけど、図書委員になれたことが優越感で辞めるに辞められない。
「みゆ、返却された本を戻すの手伝ってよ。」
「はい。」
私は、手でOKサインを作り、先輩の元に駆け寄る。
丘先輩から、サボンの香りがした。
私は、いつもそれで癒されている。
隣で、憧れの先輩と仕事が出来るのが嬉しくて、楽しくて。
丘先輩のスラーっと、しているのにがっしりした、体型に、優しい声質、中性的な、雰囲気。
何より、彼のたまに見せる、眼鏡を外したときの姿が、他の誰よりも格好いい。
「じゃあ、今日、図書委員の仕事終わったら、勉強教えてあげる。」
「やった。
本当に大丈夫なんですか」
「まあ、僕、クラスで成績トップだし、これくらい大丈夫だよ」
「ありがとうございます。」
嬉しくて、思わずガッツポーズをした。
すると先輩は、
大袈裟だよと言って私の頭を撫でた。
こそばゆいな晴れがましいようなそんな、気持ちになる。
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