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はじまり
言葉にできない「好き」ってあるはずだ。
食べ物や色の好みを言語化して理論的に説明出来ないように、世界はそうやってできている節がある。
もし自分の趣味を言葉にのせてこれはこうこうだから、だから素晴らしいんだ!と言って生まれも育ちも価値観もバラバラの100人を全員その「好き」に引き込むことができる人間がいたらぜひお目にかかってみたい。
僕なんかは理系の人間で、(おそらくは)そうでない人達よりも、理論づけて説明せよみたいな状況にきっと慣れているはずだ。それでも僕は、あなたの好きなものについて理由とともに○字以内で書けなんて言われるとちょっと狂いそうになってしまう。
好きなものは、理由がないから好きなんだと思う。
芸術的なものに縁薄い僕でもそれを結論として腹に落とし込むのは難しいことではなかった。ただ心にグッときて一生これに溺れていたいと思う、理由を説明できないものこそがきっと「好き」というやつなんだろう。そんでもって、その「好き」に全力を、一生をそそいで打ち込める人間は美しいのだ。僕の先輩がそうであったように、いや、あるように。
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