ひたり、ひたり

　毎週火曜日は、駅裏の図書館で本を借りる。ジャンルは特に決めていない。
　雪道を慎重に歩くように足の裏全体で絨毯を踏みながら、書架をめぐる。あるときはタイトル、あるときは勘、あるときは「他の本より少しだけ手前に出ていた」という理由だけで本を選ぶ。
　本は、一冊。通勤のお供として鞄に入れ、通勤でしか読まない。以前は自宅でも読んでいたが、読みかけの本をうつ伏せにしたまま家に置き忘れ、返却期限を過ぎてしまったことが何度もある。今まで司書さんに幾度頭を下げたことか。