so sweet！

sweet !

　
「うわっ、すごい行列」

　思わずつぶやきがもれる。
　最近駅前にオープンしたばかりのパンケーキ屋「めいぷる」は東京から地方へ進出してきた人気店で、テナントとはいえとなりの中華料理屋の邪魔になりそうなほど大勢の人が並んでいた。そのうちのほとんどは20代から30代の女性で、おしゃれな店の雰囲気に乗せられてわいわいがやがやと大変かしましい。

「なるほど、こりゃアキノの彼氏もひとりじゃ行きづらいわけだ」

　と、感心したように行列を眺めているすらりとしたショートヘアのさわやか系女子はキヨカ。私の数少ない友人のひとりだ。

「彼氏じゃなくて、元彼氏ね」
「そうでした！で、どうする？私はとなりの中華料理でも全然ありだけど」
「ううん、だめ」

　私はきっぱり言って列の最後尾に並ぶ。

「この店じゃないと、意味がないの」
「はいはい、いくらでも付き合いますよ。なんたって今日は、アキノの誕生日だからね」

　呆れ顔でついてくるキヨカ。

「それに、失恋した翌日でもある」
「お気遣いどうも。今日のキヨカは何だかとても楽しそうだね」
「そりゃあもう」

　とキヨカは手をすり合わせる。