sweet !

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そういうわけで、キヨカには本当のことを言うわけにはいかない。キヨカのせいで別れたとは思われたくないし、あの願掛けが逆効果だったとがっかりさせたくない。信じているほうが恋愛に前向きになれるに決まっている。 「ま、そんなに話したくないならこれ以上聞かないけどさあ……」  むっつりと黙り込んでいる私に、彼女はため息をついた。 「このお守り、やっぱ大した効果はないねー」  と、縁結びのお守りを指に引っかけてくるくる振り回している。……もう信じてないみたいです、神様。 「やめときなさいって。きっとそのうちいい人が見つかるから」 「じゃあ、アキノは?どうしてお参りした翌週にフラれてるの?」 「フラれたんじゃない!ケンカしてお互い嫌になって別れたの」  キヨカはじっとりとした上目遣いでこっちを見ている。 「いいんだよもう。きっと私にふさわしい相手じゃなかったから、神様がやめとけって言ったんだよ。だから今日はたくさん食べて英気を養って、次の恋へのスタートを切るの!」 「うん……そうっすね!」  キヨカはニーッと笑い、私たちは次にどんな人と付き合いたいかという話で盛り上がった。背が高くて、塩顔のイケメンで、仕事ができてお金持ちで、小さいことは気にしないけど細かい気配りはできる人で、色黒で歯並びがよくて、ちょっと天然なところもあるけどそこがまたかわいくて……と、理想像は瞬く間に膨れ上がり、現実から遠のいていった。
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