六華 snow crystal 5

遥香の結婚

＊＊有紀＊＊

いつのまにか9月も過ぎたけれど、季節の移ろいなどないように見える沖縄は、まだ真夏と変わりなく暑い。

北海道のようなわかりやすい四季がないせいか、一年がとても早く感じられる。

遥香の結婚披露宴の日程に合わせて、3泊4日の休みをとり、美冬を連れて再び帰省する。

サクランボのついた髪ゴムで、左右をかわいく結んだ美冬は、飛行機の中でもあまり泣くことなく、ご機嫌でいてくれて助けられた。

最近はハイハイやつかまり立ちもして、動きかたも随分と活発だ。

言葉はまだ意味不明の喃語だけれど、この子はやっぱり私に似て、おしゃべりなんだと思う。

「うぶふぶぅ、あぐぐう」

「ふふふっ、早くお喋りがしたいのね、美冬ちゃんは。もうすぐたくさんお話しができるね。楽しみだな～。おじいちゃんも、おばあちゃんも美冬が来るのを待ってるよ！」

長いフライトを終え、新千歳空港にやっとたどり着いて、ホッとする。

10ヶ月になった美冬はかなり重いけれど、ベビーカーを持ち歩くほうが面倒だと思った。

「抱っこひものほうが、美冬だって嬉しいよね～」

だけど、オムツにミルクや着替え、ウェットティッシュとオモチャなどなど、子連れはどうしても荷物が多くなって大変なのだ。

札幌行き、17時30分発のエアポートがあと10分で発車するので、急いでホームへ向かった。