最終回

3/16
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
▽ 「なぜ来たッ!!この、大馬鹿共がァッ!!」 吠えた伊吹。ドームに刺さる、幾筋もの光柱。 爆破。 ドーム屋根部に幾つもの穴を開け、施設全体を揺らす。 軟禁部屋(プレイルーム)の子供達も、揺れる地面と点滅する電気に怯えた声を上げる。 「そこまでして殺してほしいか!俺にこれ以上、人を殺させたいのかァッ!!」 〈懐かしき爆破槍(ボムランス)〉。光の束で構築された5メートル以上の長さを持つ槍を薙ぎ、回避し損ねた三人(スズリナタリアコトハ)の腹部を捉える。 爆破。 一斉に壁に投げ出され、折り重なって地に伏す三人。 「おおおお!!!」 烈火を纏い、突撃するユウキ。 突き出した拳は、宙を滑る伊吹には届かない。 上体を逸らして躱し、ゼロ距離の指先爆弾。 ドーム頂点の穴から吹き飛び天に消える。 が、伊吹は少し移動し、人差し指をクイと下に曲げた。 降る光柱。巻き込まれ、地に叩きつけられるユウキ。 「ぐっ......、ふっ!」 あまりの威力に、地面でバウンド。 身体中に鋭い痛み。言うことを聞かない。立ち上がれない。 「もう立ち上がるなよ!ユウキ!そこでじっと、してろッ!!」 駄目押しのもう一撃。光の柱が降る。 今度は爆発しなかった。だが途切れることなく放たれるレーザーは、まるで何十倍もの重力を感じているようで、起き上がることができない。 次第に身体が地面にめり込む。 圧迫される胸。焼ける空気。息が吸えない。 ──まずい、意識が......! 砕かれ宙に浮き、小さくなった床の欠片が砂となり消えていく姿を見ながら、眠気など来ないはずの明るい光の中、ユウキは意識を手放── 「──ユウキ!」 突然、身体を撃つ光が遮られる。 ユウキに覆いかぶさるようにして立つのは、覆剣を天に翳し盾としているミコト。 「ミコト!」 「あいつは、まだユウキが耐えてると思ってる。この攻撃は僕が受ける。隙をついて、あいつの元へ!」 覆剣は、ギィと金属の軋む音をあげる。だがそれをかき消すほど光線の超高音が響いている。 「でもこの熱、ミコトだったら一瞬で......!」 「大丈夫。何回でも『劇的に』してやるよ。たとえこの光線に触れている限り死に続けるとしても、ね」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!