0人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
▽
「なぜ来たッ!!この、大馬鹿共がァッ!!」
吠えた伊吹。ドームに刺さる、幾筋もの光柱。
爆破。
ドーム屋根部に幾つもの穴を開け、施設全体を揺らす。
軟禁部屋の子供達も、揺れる地面と点滅する電気に怯えた声を上げる。
「そこまでして殺してほしいか!俺にこれ以上、人を殺させたいのかァッ!!」
〈懐かしき爆破槍〉。光の束で構築された5メートル以上の長さを持つ槍を薙ぎ、回避し損ねた三人の腹部を捉える。
爆破。
一斉に壁に投げ出され、折り重なって地に伏す三人。
「おおおお!!!」
烈火を纏い、突撃するユウキ。
突き出した拳は、宙を滑る伊吹には届かない。
上体を逸らして躱し、ゼロ距離の指先爆弾。
ドーム頂点の穴から吹き飛び天に消える。
が、伊吹は少し移動し、人差し指をクイと下に曲げた。
降る光柱。巻き込まれ、地に叩きつけられるユウキ。
「ぐっ......、ふっ!」
あまりの威力に、地面でバウンド。
身体中に鋭い痛み。言うことを聞かない。立ち上がれない。
「もう立ち上がるなよ!ユウキ!そこでじっと、してろッ!!」
駄目押しのもう一撃。光の柱が降る。
今度は爆発しなかった。だが途切れることなく放たれるレーザーは、まるで何十倍もの重力を感じているようで、起き上がることができない。
次第に身体が地面にめり込む。
圧迫される胸。焼ける空気。息が吸えない。
──まずい、意識が......!
砕かれ宙に浮き、小さくなった床の欠片が砂となり消えていく姿を見ながら、眠気など来ないはずの明るい光の中、ユウキは意識を手放──
「──ユウキ!」
突然、身体を撃つ光が遮られる。
ユウキに覆いかぶさるようにして立つのは、覆剣を天に翳し盾としているミコト。
「ミコト!」
「あいつは、まだユウキが耐えてると思ってる。この攻撃は僕が受ける。隙をついて、あいつの元へ!」
覆剣は、ギィと金属の軋む音をあげる。だがそれをかき消すほど光線の超高音が響いている。
「でもこの熱、ミコトだったら一瞬で......!」
「大丈夫。何回でも『劇的に』してやるよ。たとえこの光線に触れている限り死に続けるとしても、ね」
最初のコメントを投稿しよう!