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全く。何が戦闘のサポートか。
聞こえるのは、本部からの応援の声。
いや、本部だけではない。大阪支部の人達。名古屋支部の人達。ラスト。母さん。ぽてと。
声の中にはシダユリ、オガユウのものもある。
安堵。そして、湧く力。
この声を、ずっと聞いていて誰が諦めようなどと思うか。
張り裂けんばかりに叫ぶ、耳が痛いほどの声援を背後に、どうして立ち上がらないか。
「みんなの『頑張れ』が、オレたちに力をくれる!みんなの『頑張れ』が、オレたちに勇気をくれる!みんなの『頑張れ』が、オレたちを何度でも立ち上がらせるッ!!」
スズリ、ナタリア、コトハが、互いに支え合って立ち上がる。
ミコトはヒツジに手を引かれて立ち上がる。
皆、両の足で地面を踏みしめ、天を睨む。
ユウキの胸に激しく燃ゆる赤色の炎。
今、そこに白色がチラと混じる。
▽
「し、司令!」
本部司令室。ノートパソコンのモニターを眺めていた職員の一人が叫ぶ。
「頑張──なんだ!?」
「ユウキ君のバイタルに異変が!」
「なにぃっ!見せてくれ!」
パソコンを覗き込む諏訪。画面の中に揺れる、いくつものグラフ。
心拍数は恐ろしく早く、言霊リンクは正常を示す。
おかしいのは残る二つのグラフ。
〈キャスター適合度〉。キャスターでないユウキでは常に0を表していた棒グラフが、徐々にその首を伸ばして行く。
〈体内言霊保有量〉。100%から減少したことのないそれが、少し、ほんの少し減っている。
「キャスター適合度上昇中!これは......!」
諏訪は、驚愕と呆れ。そして何より希望を顔に、言う。
「まさかユウキ!この土壇場で、キャスターとなるのか!!」
▽
「ぅぉぉおおおおお!!!!!」
雄叫びをあげるユウキ。赤の炎は身体全てを包み、昇る。
そこに、混ざる白炎。
初めは、見間違えかと思うほど小さく。しかし、次第にその勢いを増していく白炎は、やがて赤と並んで身体を燃やす。
「なんだ......!?白い、炎......!?」
その場にいる者皆、あまりの眩しさに目を細める。
赤炎と白炎が絡み合い、昇る。
ユウキは腕を、強く横に薙いだ。
同時、彼を覆っていた二色の焔は弾けるように飛び消える。
そこに残ったのは、
赤の中に白が燃ゆる、二重の焔を纏う少年。
胸に激しく二重焔。
腰部から小さく下向きに伸びる赤炎の翼。
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