最終回

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そして、大きく広げた、白炎の翼。 計四枚の炎翼が、一度空を叩く。 熱風。 その威力はまるで炎龍(ぼうそうじょうたい)のよう。 「自身の言霊を消費している......!まさか、本物のキャスターとなったのか!」 遠く離れていても届く熱気を感じながら伊吹が喚いた。 「たとえ活路が途絶えても、決して絶やすな忘れるな。胸に燃ゆる紅蓮の炎、大地を揺らすは烈火の咆哮。聴こえるみんなの『頑張れ』の声が。燃ゆる胸をまだ焦がす!あの日残した父さんの言葉、今響いているみんなの声が!挫けやしない、消せはしない。何度でも立つ〈言動力〉!」 「こんな言葉を知ってるよな!?『守るべきものがある限り、心は決して折れはしない。心が折れない限り、人は何度でも立ち上がれる』ッ!!」 「覚悟しろよ、伊吹さん!あなたと戦うこのオレは、双炎を以って太陽を墜とすッ!決して絶えない焔と思えッ!!!」 口上。ユウキの心の炎と共に、爆発的に上昇する熱。 「知っている......知っているさ!その言葉は、オレとアイツの合言葉だったッ!ユウキ!オレはただ!もうあの地獄を見たくないだけなんだ!!」 降る光柱。ユウキに刺さり、爆発。 防御する動作も見せなかった彼に直撃したそれは、ついにドームの壁を瓦解させ、大量の砂塵を舞いあげる。 崩れ落ちたドームの瓦礫は、他のキャスター達を下敷きに殺したか。そう思う伊吹はしかし、眼下でそれら全てが双炎に吹き飛ばされる映像を見て、それが間違いだと知る。 「()かないよ。あんたの爆弾(ことば)は、もう!」 「......ッ!!ユウゥキィィッ!!!!」 翼で空を叩き、急上昇するユウキ。 迎え撃つ伊吹、光柱を落とす。 しかし華麗な飛行で避ける。 降り注ぐ幾筋の光を全て避け、伊吹に肉薄。 「はぁぁぁッッ!!!」 ユウキの右ストレートが、クロスした伊吹の両腕に吸い込まれる。 ミシミシと、嫌な音をあげる両腕。 「ぐっ......〈虚構霊装(ミュート)〉ッ!」 纏う白衣が黒く染まり、威力と炎を吸収。 そのまま距離を取るように、黒い軌跡を残して飛ぶ。 「ぅぉおおっ!!」 「ぉぉおおッ!!」 言霊放出で自在に飛ぶ伊吹と、双対の炎翼をはためかせ加速するユウキ。 世界改変の爆弾(かがやくたいよう)の下、黒い軌跡を残す伊吹と白赤の軌跡を残すユウキは、何度も激突。
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