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「調べると意外と簡単だよ?材料さえあれば今すぐ作れるし。」
「じゃあ、インド式カレー。バターチキンカレーがいい。」
「ギ―とかあるかな?」
テキパキと必要な材料を買い出し、車に乗せて自宅まで帰っていった。少し遅くなっただけで猫達は抗議の声を上げた。「おそいぞ、なにやってたんだ」とでも言いたげに鳴き出す。猫達は要には寛容だった。
この時は不思議に思わなかったが、後から考えると結構怖い話でもあるが真実は闇の中だ。
要は帰った直後から手際よくインド式カレーを拵えた。チャパティーもそろって今日の夕飯になっていた。そしてなぜかチャイまで出て来た。甘めのミルクティーにほんのり香るスパイスは美味しかった。
その日はまだ要が人間じゃないって事はこの時までは信じてた気がする。
いやどうだろう?もうどうでもいいのかもしれない。要は要で、私の戸籍上の兄。生き別れの兄。これで良いんだ。これで良い。きっとそう、要が兄貴なんだ。
自分をだますのは得意なの。
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