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「勝手に起動するから、安心していいよ?はい、詳しくはこのタブレットに入ってるから。」
「あ、ありがとう…って、え?」
起き上がったロボットは生産が中止になって結局廃盤になっちゃってしばらく経つあこがれた人形が等身大になったような容姿をしていた。すごくきれい…。
「まずはマスター登録から進めてくれるかな?完全じゃないから行動に制限があるんだ。」
「え!?…えーと声紋認証をしなきゃいけないのね。私は杉村棗。よろしくね?」
タブレットを操作しながら指示通りマスター登録を終わらせた。
『声紋認証確認しました。続いて指紋と網膜の認証をします。手に触れて瞳を覗き込んでください。』
「ん…こうかな?これで良いの?」
額をくっつけるようにのぞき込むと起動音が流れて、いったん目を閉じると鮮やかな紫の瞳が柔和に笑いかけてきた。そして徐に頬にキスをした。
「よろしく、棗。オレは要。家事援助ロボットだが心理カウンセリングも可能な多機能型ロボットだ。食事もできるように味覚も発達するようにも作られてる。これから棗が好きな味、教えてね?」
「…とりあえず殴らせろ。」
「え?何で?博士はこうしろって指令だったんだけど、何か悪い事した?」
「…あのバカ親!!もういい。猫の餌出して猫のトイレ掃除。やっといて。部屋には来ないで。」
「…はい、マスター。」
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