ともだつ

1/43
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ

ともだつ

「あーなぁ昨日また面白いことつぶやいてたよ」 「へー」 「今日あたりライン来るだろうなーもう来た?」 「んーん」 「そっかじゃあドキドキだな」 「んー」 「ユーリ好き?」 「んー」 「おー。超好き?」 「んー」 「めっちゃ好き?」 「んー」 「なまら好き?」 「んー」 「こじゃんと好き?」 「トム」 「んー?」 「どした」 「あーーなーーー?」  なー?て言われてもな、という一瞥をくれてから、綾瀬は不揃いな長方形の木片たちに紙やすりをかける作業に戻る。玉城はウッドブロックの円柱を前に彫刻刀をペン回しして、机に両肘を乗せ直した。 「父さんがまーた浮気してるくさいんだよなぁ」  おがっあぶね、と離れた所で声が聞こえた。誰かが怪我か失敗をしそうでしなかったようだ。 「なんでわかんの」 「気配。帰宅スパンと土産のカラー。おれ探偵になれるよ」 「なれし。営業より合ってね」 「なろーかなぁぁぁ」 「母わかってんの」 「今月中には気付くな。でまたコールドウォーだよ。もう救いようがないのか?」 「泣けば」 「うっ、うぅえぇぇぇ」 「家で」 「新技。効くかもな。ハイティーンの息子が爆泣き。Daddy don’ betray my moooooooom」 「こえ」     
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!