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礼一はある夜、豚汁を作って食べた。予算不足のためこんにゃくやごぼうは入れなかった。日付が変わる前に、礼一はネットを始めた。
礼一は沙耶のあたたかさが大好きで。いままで苦労が多かったので、そのあたたかさが嬉しかったのだ。
♪不器用じゃなきゃ恋はできないわ 近づくほど冷めるもの
そんな歌があった。アニメの歌だ。
礼一の部屋にはペンネがある。スパゲティソースもある。ひきわり納豆もあるし、野菜もある。
ふだんっぽい食事(豚ロース厚切りのソテー・ナツメグ風味、麦ご飯、トマト この組み合わせが多い)をしないと、悪夢を見る。かといって炭水化物を摂らなさ過ぎても、よく眠れない。
ルイボスティーも彼の生活に欠かせないものになっている。
コカコーラゼロで安心するのなら、それも時間のつぶし方としては、いいと思うのだ。
礼一は今までの経験から、「誰かのことを想って、しかもその恋愛感情が純であるときは、幸せな気持ちになっていく」ということを経験している。Tさんとの仲がうまくいきそうになったときは、だんだん周りの空気が普通になっていったけど、お互い言い出せなくて、また周りの空気は変な空気になっていった。
礼一はあとでトマトとかいわれ大根、ひきわり納豆なんかを買おうと思う。いつも買っているものなら健康にとって安心なのだ。
礼一の一番の心配は、沙耶ちゃんに嫌われはしないかということ。もしかしたら礼一は自分の「努力」が彼自身を苦しめているのではないかと思った。人間は愚かなので目的を見失うことがある。でも動物は本能にしたがって生きているだけだ。
礼一は恋をしたこと自体は多くても、未経験だった。
(つづく)
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