勇気

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知らないふりをしていたんだ。 友達がいじめられてるのを見て、怖くて逃げ出した。 だって、僕もいじめられたらイヤじゃないか。 その日から、なるべく会話をしないようにした。 一緒に居たら、いじめられるかもしれない。 彼とは他人だ。 本当にこれでいいんだろうか。 彼の顔を見ると、ため息をついていて元気がない。 その姿を見て、心がもやもやする。 放課後、忘れ物をとりに教室に向かうと中から声がする。 「頼むから…もうやめてくれ!」 友達の声だ。 悲痛な叫びを聞いて、扉の前から動けない。 心のもやもやが増えていく。 こわいこわいこわいこわい…。 頭の中に何回こわいという文字が流れただろう。 扉に手をかける。 深呼吸をして、大きく息を吸い…。 「僕の友達になにをしてるんだ!」 必要なのは、勇気だった。
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