88人が本棚に入れています
本棚に追加
/288ページ
口を使って猿ぐつわを乱暴にほどき、ひらひらと小さな手の平を目の前へかざして、俺は試みの成功を知る。
「てんめえぇぇ~ふざけるなああぁっ!」
醜いデブの中年男が喚き出す、(元)俺だ。
「・・・・・・これは人質だ、晶」
ゆでダコみたいに顔を赤らめて気が狂ったように喚く、元自分の醜さにため息をつきながら、俺は(元)俺の頭ん中で怒り狂う西条晶に宣告した。
「はあああぁぁ~っ!?」
「だってお前、兄貴を救出するつもりなんてハナから無いだろ? 自分の身体を取り戻したら、俺なんかぶっ殺して逃げるに決まってるよなっ!」
最初のコメントを投稿しよう!