銀の王子と金の竜

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「君も有難う。心優しく勇敢な少女」 少女は左右に大きく首をふりました。 呪いを解いたのは金の竜で、自分は何もしていません。しかし王子はくすりと笑うと少女の頭をそっと撫でました。 「いいや、君の言葉のおかげで臆病な彼が俺への想いに気付いてくれたのだ。君はずっと俺たちを見ていたね」 少女は目をまん丸にしてどうして知っているのかと聞けば、王子は言いました。 「あの茨の魔力のせいさ、茨は土に深く根を張って森全体に行き渡ってきた。その中にずっと囚われていた俺は不思議なことに森の中で起きていることは全て感じ取れていた。獣たちや鳥たちの音だってね」 王子は長い指に嵌められた銀の指輪を抜き取ると、跪いて少女に差し出しました。 「礼にはならぬがこれをあげよう、俺と共にあった事で強い魔力が宿っている。君を守ってくれるだろう」 何も装飾のない指輪でしたが、それはあの茨のように繊細な白い光を淡く放っていました。見ているとほっと心が安らぐような光です。 少女が冷えた手で指輪を受け取ると、王子は彼女の額にキスをしました。
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