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妖精の怒りを買ってしまったその国は衰えていき、滅んでいきました。
やがて山の妖精達も散り散りに別の場所へと住処を変えていなくなりました。
王子はひとり茨の中に取り残されてしまいました。
時は過ぎ、国のあった土地には木々が生えて、いつしかそこは深い大きな森になっていました。
鳥や獣も寄り付かない森の奥深く。
それでも王子は眠り続けました。
呪いにかけられた王子は時の流れで命を終わらせることも許されず、ただそこだけ時間が切り取られたように変わらぬ姿で眠り続けていました。
もう誰もそこにあった国のことも銀の王子のことも覚えてはいませんでした。
ただ、一匹のものだけを除いては。
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