銀の王子と金の竜

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少女が銀の茨を見つけたのは本当に偶然のことでした。 少女の家は作りたてのパンやジャム、お菓子などを売って暮らしていました。そしてそれらの材料として森の中に生える赤や青の小さな実を集めるのが彼女の毎日の仕事でした。 ある日、少女はいつもの場所で摘む果実が少なくなってきたことに気が付き、少し外れた所へ行ってみようと思いたちました。 そして、森の奥深くへと足を踏み入れたのです。 果実を探す少女は生い茂る森の奥へ奥へと歩いていき、やがてその先に淡く光る何かを見つけました。 それはあの銀の茨でした。 白く光るそれに目を奪われていると、その中にそれよりももっと美しい青年が横たわっていたのです。 あまりの光景に少女は自分の両目を小さな手で擦りました。
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