斉藤探偵社

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斉藤探偵社

 斉藤恭治は壁掛けのアナログ時計に視線を向けた。  約束の連絡時間を過ぎている。   こうなることは想定内ですが……  思わず溜息が出た。茂子には危険なことをしてほしくない、それは彼女の父である(さん)(ぺい)(たけし)の願いでもあるはずだ。  ところが彼女はある意味で父に似ている、目的のためならリスクを(いと)わない傾向があるのだ。   言って聞いてくれれば苦労はないですね。  強情なところも父そっくりだ。  恭治はデスクに置いてあるスマートフォンに手を伸ばした。  茂子と打ち合わせで決めた連絡先を呼び出し電話をかける。
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