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アークソサエティ大槻聖堂
小柄で神経質そうな男とラグビー選手のような大柄な男が天城たちの前に立ちはだかった。
「伏せて!」
明人の叫び声に彼女も素早く反応して瑠菜を押さえつけるようにして身を低くした。
その刹那、頭上を赤い物体が猛スピードで通過し、壁に大きな音を立てて激突する。廊下の隅にあった消火器だ。
だがその消火器を目の前の男たちは直接触れてはいない、そう直接は。
明人は鈴音を庇って身を伏せていたが素早く立ち上がり、大男に殴りかかった。
男はとっさに腕で身をかばう。
それを予測していたのだろう、明人は拳を引き身を沈める。
その行動に戸惑った大男が彼の動きを確かめるためガードを緩めた。
すかさず明人は飛び上がるようにして掌打を大男の顎に叩き込む。
「ハァッ!」
裂帛の気合いを込めた一撃に、さしもの巨漢もうめき声と共に膝から崩れ落ちた。
さすが鬼多見のおじさんが鍛えただけはあるな。
「いい気になるな」
小柄な男が吠えた。
次の瞬間、天城の視界が歪んだ。
「え?」
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