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大槻聖堂の廊下にいたはずなのに今いるのは霊安室だ。
天城は父を見下ろしていた、グシャグシャになったその顔を。
「そんな……なんで……」
忘れもしない、これはかつて実際にあったことで、その後何度も夢に出てきた。
だからこれは現実ではない。そのはずなのに天城は無残な顔から眼を逸らせなかった。
胸が苦しくて呼吸がうまくできない。
この時、天城は大学の卒業を間近に控えていた。司法試験にも受かり、都内のある弁護士事務所に就職も決まっていた。
だが父の死が全てを変えた。
父の直接の死因は交通事故だ、飲酒運転をしてガードレールを突き破り崖から落ちたのだ。
三瓶猛は人一倍正義感が強く、ゴールド免許で飲酒運転などしたことがない。そもそもどうして飲酒をした上で山奥のガードレールがある道路へ行ったのか。
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