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「天城さん!」
身体を揺さぶられるのを感じた。
気づくと目の前に門脇明人の顔がある。
「しっかりしてくださいッ」
「ボクは……」
周りを見回すとそこは大槻聖堂の廊下で、霊安室でもなければ父の亡骸も無くなっていた。
「幻覚を視せられたんです」
「だろうね」
明人の後には大男の他に小柄な男も伸びている、あの小男が幻覚を視せていたのだ。
「キミは平気だったのかい?」
彼は鼻を鳴らした。
「イヤなモノは視せられましたけど、あんなのお師匠の幻術に比べたら……って、そもそも比べものにならないほどチャチですよ」
まったく鬼多見の一族には常識が通じない……
苦笑が漏れる、間違っても敵にはしたくない相手だ。
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