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突然人垣が割れ、太った中年の男が姿を現した。着ている服が他の信者とは違い神父が着るようなローブを着ている。
「ここは神聖なる場所だ、お前達のような不良が立ち入っていい所ではない!」
「すみません、じゃあとっとと出て行きます」
天城は明人たちを促し出口へ向かおうとしたが、当然信者たちが行く手を阻む。
「素直に出てくって言っているんだから帰してくれないかな?」
「そう簡単には帰さん、貴様らは我らの信者を拉致しようとしている」
ビクリと鈴音が反応し、瑠菜が庇うように彼女の前に出た。
「彼女の父親が返して欲しいって言ってるんだ、一人ぐらい信者が家に帰っても問題ないだろ?」
ローブの男は嫌らしい笑みを浮かべた。
「父親が返してほしいと望んでいる? それは初耳だ、私は彼女の母からここで修行をさせるように頼まれているのだ。
信じられないなら依頼書を見せてやろう」
それぐらいの物は用意しているよな、と天城は思った。雪城美登里が先日訪れたのはこの施設で、予想通り彼女はアークソサエティの信者だ。
ローブが言っていることは本当だろう、美登里は娘をこの施設に預ける事を承諾した書面を書かされたのだ。
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