352人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
言いたくないことを問い詰めることはしない。しかしこんなに優しい彼を自分の書いた話の何が救ったのだろうと湊は単純に疑問に思った。
まあいいか。少なくとも自分の寂しさに寄り添ってくれる相手を見つけ、恋をした。それだけだ。
そのあとはラインを交換して、朝になって一緒に駅まで行って電車に乗った。彼が降りるのは5つ目の駅。湊が降りるのは9つ目。
そして毎日終電で一緒に帰り、1ヶ月に一度くらいホテルへ行き、その頻度は次第に増えていき、いつしか湊の家で半同棲状態になっていた。
それが北条アキトと湊の出会いだった。
最初のコメントを投稿しよう!