第4章 雪遊び

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「それより、雪だるま、一緒に作るか?」 「え…っ!いいの?」 「そんなに名残惜しそうにその山盛りの雪を見てるから。」 それは明らかに湊の勘違いだったが、何がともあれ一緒に何かを作ってくれる、というのはとても嬉しかった。 「うん。」 素直に頷くと、湊は両手で雪を手に取り、ぎゅっと握りおにぎりサイズの球を作った。それをどうするのだろうとアキが覗き込んでいると、コロコロと雪の上にそのおにぎりを転がしはじめる。 次第に表面に雪がくっついていきおにぎりはサッカーボールのサイズになる。そのサイズになった球を湊は手袋越しに叩きながら成形していった。 「やってみろ。これは上だから、下はもう少し大きく。」 そう言われてやってみるものの、不器用なアキはおにぎりさえも丸く作れず、その結果半円のようないびつな形になってしまう。湊はそれを笑いながら綺麗な形に直していく。 その横顔が好きだ。優しい手が好きだ。そして遊びで作るスノーマンの胴体さえも抜かりなく綺麗な丸にする、几帳面な性格が好きだ。 そんなことを考えながらぼーっと湊の方を見ていると、いつのまにか凹凸のない綺麗な球になったスノーマンの胴体に、サッカーボール大の頭がちょこんと乗っかっていた。 「あとは、顔と手だな。使えそうなものを探してくるか。」 「そこまではいいって!何もなくても可愛い。ね、記念に一緒に写真撮ろ。」
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